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【Tachibana Life♯49】橘高校生、本の奥深さを知る~図書委員会研修旅行

※図書部の先生から、図書委員会の研修旅行のようすについての情報が寄せられました。以下、本をめぐる図書委員会の皆さんの冒険をお読みください。

 8月8日(木)、図書委員会の1~3年生有志6名による研修旅行を実施しました。行き先は「国立国会図書館 国際子ども図書館」「講談社」です。

■国立国会図書館 国際子ども図書館

 東京・上野にある国際子ども図書館は、明治時代の帝国図書館に始まる歴史的な建築と平成の新しいデザインが融合した、どこを見ても見ごたえのある建物です。

歴史と「知」の重みを感じます

 職員の方に2つの面から解説していただきながら、館内を見学しました。
 1つは建築・内装について。外壁のレンガとタイルの違い、レトロな電灯や窓、重厚な扉や階段の手すり、本を書庫から運ぶためにかつて使われていた水圧式のエレベーター、寄木細工の床などのいわれについて伺いました。

何かのセットに使われていそうな雰囲気

 もう1つは、国際子ども図書館の役割(国内外の児童書やその関連資料を収集・保存・提供し、子どもの本に関わる活動や研究を支援すること)や、そのためにどんな資料をどのように集め提供しているのか、また、いくつかある閲覧室それぞれの特徴等について伺いました。その役割ゆえに個人への貸出は行っていないと聞き、驚いたという生徒もいました。一口に「図書館」と言っても、普段利用している学校や市や県の図書館とは違った役割を持つ図書館であることを学び、体験することができました。

真剣なまなざしで見つめています

 上の写真について解説します。
 写真左側には、旧帝国図書館で実際に使われていたという、目録カードボックスが写っています。本校の図書館にも古めの目録カードボックスはありますが、ここまでの年代物にはなかなかお目にかかれません。つい引き出しを開けてみたくなりますが、残念、触ってはいけません!
 その横にあるのは、「リンネの木馬」(復刻)。スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネが、またがって勉学に励んだといわれる学習机だそうです。よく見ると台の角度が何パターンかに変更できるようになっています。読む本や勉強内容や気分によって角度が変えられる机……欲しいカモ?!

何と書いてある?

 この写真は、館内の扉の取っ手部分に付いている表示です。職員の方に「なんて読むでしょう?」と訊かれましたが、残念ながら解答者はいませんでした(内心ではわかっている人もいたかな?)。正解は「おすとあく」。真ん中の字は「と」の変体仮名「登」ですね。設置当時は引き戸が一般的だったため横に引いてしまう人が多く、このような表示がされているのだそうです。

生徒感想

・昨年の研修旅行にも参加して国立国会図書館(本館)に行ったことがあったので、関連するお話が多くてより楽しめました。私が一番印象に残ったのは、「子どものへや」です。光天井で影が出来にくいという工夫がされていて、どこも明るいので居心地良く、子どもも安心できる環境で驚きました。
・本棚の形や本の配置が、利用者が利用しやすいように工夫されていてとても感動しました!
・世界で読まれている日本の絵本の紹介では、同じ内容でも国(言語)によって本の向きが異なっていたり、その国の文化に合わせて絵が微妙に変わっているということを初めて知りました。それらの本が同じ場所にあることで、比較しながら読むことができるのですごくワクワクするなと思いました。
・「児童書ギャラリー」では、入口に古い本を置き、奥の方に新しい本を置くことで、この本はこの時代にも読まれていたんだ!という発見を楽しみながら、懐かしい本に触れる事ができるのがとても魅力的だなと思いました。
・内装から明治の暮らしが知れて楽しかったです。扉に「おす登あく」と書いてあり、日本人は引き戸に慣れていたんだなと、昔の暮らしを実感できました。
・書庫の本を取り出すときに代本板を入れるというのが、私の小学校の図書館の仕組みと同じでした!本をなくさない工夫として有効だったんだと知れて良かったです。

■講談社

エントランスにて

 入口のロビーのようすは、タイトル画像の写真で紹介していますが、なんと本物の木がたくさん! 本=紙=パルプ(木)を扱う企業として、環境への配慮を忘れず、また社員の方々の憩いと豊かな発想の源泉となるよう、このような空間にしているのだそうです。

 まず社屋の最上階(26階)のホールに案内していただきました。眼下に広がる大都会の眺めは最高です! 写真には写っていませんが、左手にはスカイツリーと東京ドームも見えました。

社屋最上階からのながめ
滅多に見られない光景を、心とスマホに刻みます

 いくつかある撮影スタジオの一室では、プロの方に写真を撮っていただきました!

 最初は緊張していましたが、さすがのプロのテクニックですぐに表情が和みます。

テンポよく撮影が進みます

 それをなんと、雑誌の表紙風にプリントして、お土産にしていただきました。上部には校名入り。ありがとうございます!

特別増刊号!?

 撮影スタジオには、上から撮るためのスペースもあり、登らせていただきました。急な階段で結構大変! でも、登ってみたからこそ、こういう角度が必要な理由もわかりました。

 その他にも様々な撮影に対応するためのいろいろな設備や大道具・小道具の倉庫なども見せていただき、普段、想像もしなかった世界に驚きと感動の嵐でした。
 その後、社内図書館(!)を見学させていただいたり、昔の雑誌の創刊号のお話を伺ったりしつつ、会議室へ。

会議室入口のウェルカムボード! かわいい! ありがとうございます!!

 会議室では、編集者の方からのお話を伺いました。編集の仕事とはどういうものなのか、どういう工程でどういう職種の人が携わって一冊の本が世に出るのかを学びました。これまでなんとなく想像していたより、もっともっと広く深い世界であることを知りました。今度図書館や書店で本を手に取る時は、きっと見え方が変わりますね。もしかしたら、将来、出版に関わる仕事に就く人もいるかも?

生徒感想

・まず26階もあることと、植物園の様な入口に驚きました。出版社のお仕事は「本に関わる仕事」というざっくりとしたイメージしかありませんでした。しかし、雑誌の写真撮影の現場を見学させていただいたり、編集者さんのお話を聞いたりすることで、何気なく読んでいた本も皆さんの沢山の時間と努力でゼロから生み出されたものなのだと感動しました。
・雑誌の表紙などを撮影するスタジオを初めて見学することができて、すごくワクワクしました!車が通れるようになっていたり、背景に使用する大きなロール紙の残量が分かるように天上部分に鏡をつけてわかりやすくしていたり、様々な面に工夫が施されていてすごいなと感じました
・「編集者」の仕事が思ったよりもハードで驚きました。今まで読んできた本たちは、作るのにこれだけ大変だったんだと思うと、「あの本もう一回読み直そうかな」という気持ちになりました。

■おわりに

 お忙しい中詳しくご案内くださった国際子ども図書館と講談社の皆さま、大変お世話になり、ありがとうございました。今回の研修で学んだ様々なことを、今後に活かしていきたいと思います!